診療科紹介

HOME > 診療科紹介 > 外科

移植を除くすべての消化器外科疾患、一般外科疾患をカバーできる体制を整えております。また、専門外来として木曜午後に小児外科外来、金曜にストーマ外来をそれぞれおこなっております。胆石症、そけいヘルニアなどの良性の common disease は日帰り手術を念頭に置いた短期入院治療を計り、一方、難治性癌の代表である膵臓癌・胆道癌は小切が治療を統括し、進行度に応じたきめ細かな治療を目指しています。さらに、外科スタッフ全員による病棟カンファレンスを週2回、病棟回診を週1回おこない、すべての外科入院患者さんの情報をすべての外科医が共有することにより、均質で高度の医療をおこなえるよう努めております。

取扱い疾患

食道疾患、胃・腸疾患(癌を含む全ての外科疾患)、肝疾患(癌、腫瘍、のう胞等)、胆道疾患(胆管癌、胆嚢癌、胆石症等)、膵疾患(膵癌、膵炎、膵のう胞等)、腹膜偽粘液腫を含む大腸癌・卵巣癌などの腹膜播種性悪性腫瘍、肛門疾患、小児外科疾患、その他外科疾患

専門外来

外科 小児外来
担当医師 佐藤 正人
診察日時 木曜日
受付:午後12時30分から2時30まで
診察:午後1時から3時まで
ストーマ外来
担当医師
・看護師
外来担当医
WOC(創傷、オストミー、失禁)看護、ストーマケア専門看護師
診察日時 金曜日
診察:午前9時から
受付方法 予約制なので事前にお問合せください

腹膜播種性悪性腫瘍に対する治療プログラム

2012年7月より、腹膜播種性悪性腫瘍に対して、腹膜切除と腹腔内温熱化学療法の治療プログラムを開始しました。特に、腹膜偽粘液腫は過去の治療実績を基に症例を広く受け入れています。鍛(きたい)までご連絡ください。

医師紹介

氏名 補職名 認定資格 専門分野
小切 匡史 院長 日本外科学会指導医・専門医
日本消化器外科学会指導医・専門医
日本消化器病学会指導医
日本がん治療認定医
肝胆膵外科高度技能指導医
膵臓・胆道外科
西嶌 準一 顧問・中央検査部長 日本食道学会認定医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
難病指定医
日本外科学会専門医・指導医
日本消化器外科学会認定医
日本がん治療学会教育医
日本がん治療認定医機構暫定教育医
一般外科
消化器外科(胃・食道疾患)
癌化学療法(胃癌・食道癌)
鍛 利幸 部長 日本外科学会指導医・専門医
日本消化器外科学会指導医・専門医
日本がん治療認定医
日本乳癌学会乳腺専門医
消化器外科、食道外科
内視鏡外科
腹膜播種悪性腫瘍手術
(腹膜偽粘液腫、大腸癌・卵巣癌など)
髙木 秀和 医長 日本外科学会専門医
消化管外科
内視鏡外科
山中 健也 医長 日本外科学会専門医
日本消化器外科学会専門医
日本がん治療認定医
日本消化器がん外科治療認定医
日本肝臓学会肝臓専門医
肝胆膵外科
腫瘍外科
稲本 道 医長 日本外科学会専門医 消化器外科、内視鏡外科
杉本 奈緒子 専攻医    
有田 創 専攻医    
久徳 茂雄 応援医師 日本形成外科学会専門医
日本救急医学会専門医
日本熱傷学会専門医
日本頭蓋顔面外科学会専門医
日本皮膚腫瘍外科認定専門医
日本感染症学会ICD
日本創傷外科学会専門医
形成外科全般
頭蓋顔面外科
唇裂、その他の先天異常
熱傷
マイクロサージャリー、再建外科
褥創
佐藤 正人 応援医師 日本小児外科学会指導医・専門医
日本外科学会指導医・専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医(小児外科)
日本消化器外科学会認定医
小児外科
小児内視鏡外科

診療実績

疾患 平成25年 平成26年 平成27年
外科手術合計 666例 682例 673例
 全麻手術 558例 554例 544例
 腰麻手術・局麻手術 112例 128例 128例
 悪性腫瘍手術 252例 244例 249例
 腹腔鏡(補助下)手術 226例 236例 238例
平成27年手術内訳 ※( )は腹腔鏡下手術
食道
区分 疾患 手術
良性 食道裂孔ヘルニア 2例 ヘルニア根治術 2例(2)
悪性 食道癌  10例
食道GIST 1例
食道亜全摘術  6例 (6)
中部下部食道切除  2例
胃全摘 1例
バイパス・胃瘻 2例
胃十二指腸
区分 疾患 手術
良性 胃潰瘍 4例
十二指腸潰瘍  2例
SMA症候群 1例
穿孔部閉鎖術 5例(4)
胃部分切除  1例
十二指腸空腸吻合 1例
悪性 胃癌  62例
十二指腸癌 3例
胃GIST  7例
幽門側胃切除術  35例(9)
胃全摘術  18例(0)
噴門側胃切除 2例
残胃全摘 2例
膵頭十二指腸切除 1例
胃部分切除  7例(3)
その他  7例
小腸
区分 疾患 手術
良性 イレウス  23例
小腸穿孔  6例
癒着剝離 15例 (1)
腸切除術  10例
バイパス・人工肛門造設 4例
穿孔部閉鎖 1例
悪性 小腸癌  4例
癌性イレウス 4例
腸切除  5例
バイパス・人工肛門造設 3例
結腸・直腸
区分 疾患 手術
良性 大腸穿孔  9例
直腸ポリープ  3例
一時的人工肛門  12例
縫合不全・狭窄  2例
憩室炎・大腸炎  5例
大腸切除  11例(2)
ハルトマン手術  2例
人工肛門閉鎖  12例
人工肛門造設  3例
経肛門的切除術  3例
悪性 結腸癌  58例
直腸癌  41例
大腸狭窄(癌再発)  2例
大腸悪性リンパ腫  1例
結腸切除術  47例(27)
前方切除術  29例(21)
直腸切断術  5例(3)
ハルトマン手術 2例
バイパス・人工肛門造設  13例
経肛門切除  1例
肛門
区分 疾患 手術
良性 痔核  6例
痔瘻  1例
肛門周囲膿瘍  1例
痔核切除  6例
痔瘻根治術 1例
ドレナージ  1例
肝臓
区分 疾患 手術
良性 肝損傷 1例
肝のう胞 2例
止血術 1例
開窓術 2例 (2)
悪性 肝細胞癌  15例
転移性肝癌  15例
肝内胆管癌  3例
葉切除  10例
区域・亜区域切除  13例
部分切除  10例
胆嚢・胆管
区分 疾患 手術
良性 胆石症 77例
急性胆嚢炎 40例
胆嚢ポリープ 6例
総胆管結石 5例
胆嚢摘出術  123例(101)
総胆管切開切石術 5例
悪性 胆嚢癌 3例
胆管癌  5例
肝門部胆管癌  1例
膵頭十二指腸切除術  3例
肝葉切除 3例
拡大胆摘  1例
胆管切除 1例
胆管空腸吻合 1例
膵臓
区分 疾患 手術
良性 膵腫瘍 2例
慢性膵炎 1例
脾温存膵体尾部切除  2例
のう胞空腸吻合  1例
悪性 膵癌  19例 膵頭十二指腸切除術  9例
膵体尾部切除術  6例
バイパス術  4例
脾臓
区分 疾患 手術
良性 脾腫瘍 1例
脾腫 2例
脾摘術  3例 (3)
虫垂(小児を除く)
区分 疾患 手術
良性 急性虫垂炎  56例 虫垂切除術  54例(43)
回盲部切除術  3例(2)
悪性 虫垂癌 2例 回盲部切除 2例 (2)
ヘルニア(小児を除く)
区分 疾患 手術
良性 ソケイヘルニア  97例
大腿ヘルニア  2例
腹壁瘢痕ヘルニア  6例
閉鎖孔ヘルニア 2例
臍ヘルニア 3例
内ヘルニア 1例
ソケイヘルニア根治術 97例
大腿ヘルニア根治術 2例
瘢痕ヘルニア根治術 6例
閉鎖孔ヘルニア根治術 2例
臍ヘルニア根治術 3例
内ヘルニア修復 1例
小児疾患
区分 疾患 手術
良性 ソケイヘルニア  8例
臍ヘルニア  6例
急性虫垂炎  10例
ソケイヘルニア根治術  8例
臍ヘルニア根治術  6例
虫垂切除術  10例(15)
腹膜
区分 疾患 手術
悪性 腹膜偽粘液腫・大腸癌腹膜播種 12例 腹膜切除+腹腔内温熱化学療法 11例
バイパス 1例

腹膜播種に対する腹膜切除と腹腔内温熱化学療法の治療プログラムについて


 お腹の中は腹膜という薄い膜におおわれており、腹膜に囲まれたスペースを腹腔と呼びます。腫瘍が腹腔にこぼれて腹膜に広がった状態を腹膜播種といいます。以前は、もう治らない病気として抗癌剤治療や緩和治療などでなるべく長く腫瘍と仲良くつきあうことが目標でした。しかし、最近、腹膜に播種した腫瘍を切除し、その後に腹腔内温熱化学療法を行うという治療が欧米を中心に広く行われるようになり、これまでの治療よりも長い期間元気で過ごすことができたり、病気が治ったりすることがわかってきました。この治療で重要なことは、手術で腫瘍を最小限に減量した後で、十分高濃度の抗癌剤を約42℃の温度で腹腔内に直接投与することによって、残った腫瘍細胞を消失させることです。この治療を我が国で行っている施設はまだ限られていますが、これまで報告された論文や学会発表では、欧米の報告とほぼ同等の治療成績が得られています。我々は、腫瘍が腹腔内に広がった患者さんに対して、腹膜切除と腹腔内温熱化学療法が安全に行うことができ、また有効であることを確かめるためにこの治療プログラムを始めました。
 これまで、腹膜播種は極めて予後不良な病態であり、癌の終末期と認識されてきました。実際に、大腸癌腹膜播種症例に対して全身化学療法を行った報告では生存期間5.2~12.6カ月で、5年以上の長期生存例はほとんどありませんでした。しかし、腹膜播種症例の中には腫瘍が腹腔内にとどまり腹腔以外(肺や肝など)への転移がほとんどないものがあります。このような症例の積み重ねから腹膜播種に対する生物学的理解が深まり、腹膜播種に対する積極的な局所治療が有効であることがわかってきました。1995年にSugarbakerによって報告された腹膜切除を伴う減量手術 (CRS: cytoreductive surgery) と腹腔内温熱化学療法 (HIPEC: hyperthermic intraperitoneal chemotherapy)は、大腸・虫垂由来の腫瘍や婦人科腫瘍に適用され、現在、欧米を中心とした多くの専門施設において腹腔内臓器由来の癌の腹膜播種症例に対する治療選択枝のひとつとして行われるようになってきました。なかでも、腹膜偽粘液腫はこの治療法が最も有効な疾患と考えられています。腹膜偽粘液腫は、虫垂の粘液産生腫瘍が腹腔内に播種して大量の粘液性腹水が貯留するまれな病態です。これまで難治性とされていましたが、現在ではCRS + HIPECが標準治療と考えられています。2012年、Chuaらによる16の専門施設2298症例の集積では、5年生存率80%、10年生存率74%と報告されています。大腸癌腹膜播種に対しても、2003年、VerwaalらはCRS + HIPECと全身化学療法の比較試験において、生存期間中間値がそれぞれ22.4か月vs.12.6か月、2年生存率が43%vs.16%と有意にCRS+HIPECが優れていることを報告しました。その後2008年に報告された長期成績では5年生存率は20%、特に完全切除が得られた症例では5年生存率は45%とこれまでにない良好な結果でした。一方で、この治療法は他の手術や治療法とくらべて術後合併症や手術関連死亡の危険性が高く、なによりも安全に行うことが重要な問題です。
 腹膜偽粘液腫に対してはほとんどの症例がCRS + HIPECの適応です。大腸癌腹膜播種では、転移が腹膜に限られており肉眼的完全切除が可能な症例が適応になります。具体的には、Peritoneal cancer index(腫瘍量の指標)が20以下の症例で、取り扱い規約で“P3”の症例も適応になります。詳しい適応や治療内容については、担当者:鍛(きたい)までお問い合わせください。


腹膜偽粘液腫に対する腹膜切除と腹腔内温熱化学療法


腹膜偽粘液腫のCT: 肝表面や胃の周囲を中心に粘液性腫瘍(*)の播種を認めます。




開腹所見: 腹腔内全体に粘液性腫瘍の播種を認め、上腹部臓器は一塊となっています。




腹膜切除: Sugarbaker (1995)によって提唱された腹膜切除では、1)大網切除・脾摘、 2)左上腹部腹膜切除、3)右上腹部腹膜切除・肝被膜切除、4)小網切除・胆摘・網嚢腹膜切除、5)直腸切除(子宮全摘)・骨盤腹膜切除、6)胃切除 を行います。




切除後の上腹部手術所見: 横隔膜下腹膜、肝被膜、網嚢が切除され、胃切除、右半結腸切除が行われています。




腹腔内温熱化学療法: 腹膜切除後、腹腔内遊離細胞の治療目的に行います。




腹膜偽粘液腫に対するこれまでの治療成績:
完全切除が可能であった症例の10年生存率は67.5 %でした。

↑このページのトップへ

当院(2012年7月~)での治療成績

背景:腹膜播種はこれまで極めて予後不良な病態であり大腸癌の最終段階と認識されてきた。近年、Sugarbakerによって提唱された腹膜切除と腹腔内温熱化学療法(CRS+HIPEC)が根治治療として行われるようになったが、術後合併症は33~55%、術後死亡率は0~18%と報告され、その安全性の問題が普及を妨げる要因であった。
方法:2012年7月から2015年4月までに、虫垂癌を含む大腸癌腹膜播種患者23名に対して26回のCRS+HIPECを施行した。CRSはSugarbakerの方法に従って行い、HIPECはCDDP50mg/m2, MMC10mg/m2を用いて42℃で60分間行った。前向きに蓄積したデータから合併症の頻度と程度、術後生存期間を評価した。
結果:年齢は65.5才、男女比は13/13、虫垂原発が23例で、9例に化学療法の既往があった。Peritoneal cancer indexは14.5、25例で肉眼的完全切除が可能、HIPECは21例で施行した。手術時間は568分、出血量は1272g、ICU管理期間は3日、術後入院期間は25日であった。grade3以上の合併症は6例(23.8%)に見られ、1例が誤嚥性肺炎によって在院死亡した(表1)。特に高齢者においては全身合併症の管理が重要である。術後化学療法を2例に行った。観察期間18カ月の時点で、3例が原病死、2例が他病死した。生存18名のうち15名は無病生存中である(図1)。
結語:大腸癌に対するCRS+HIPECの術後合併症は過去の報告に比べて安全に行い得た。生存期間の評価は時間を待たなければならないが、根治治療として有効な治療法である可能性が示された。


術後合併症(grade 3以上)6例の内訳
合併症
症例数(%)
手術部位合併症
4 (15.4 %)
  出血*
  1
  縫合不全*
  1
  腸穿孔
  1
  膵液漏
  1
  全身合併症
4 (15.4 %)
  呼吸不全*
  3
  心不全
  1

*重複あり

術後生存期間

(要旨は2015年11月、第78回臨床外科学会で発表した)

診療科紹介 専門外来
五十音順